雰囲気がいい会社って、たしかにある。
空気がやわらかくて、
人との距離も、言葉の温度も、ちょうどいい。
初めて訪れても、なんとなく居心地がいい。
働いている人たちも、どこか自然体で、無理がない。
でもそれを「文章にしてください」と言われた瞬間、
なぜか急に、よくある言葉になってしまう。
風通しがいい。
アットホームな職場。
チームワークを大切にしています。
どれも間違ってはいない。
けれど、どこかで見たことのある言葉になる。
その会社のはずなのに、
その会社じゃなくてもいい文章になってしまう。
この違和感は、どこから生まれているんだろう。
雰囲気は「結果」であって「理由」ではない
「雰囲気がいい」というのは、とても魅力的な言葉だけれど、
それはあくまで状態の話だと思う。
つまり「結果」。
なぜそうなっているのか。
どんな積み重ねがあって、その空気が生まれているのか。
そこが抜け落ちたまま言葉にすると、
どうしても抽象的な表現に寄っていく。
たとえば「アットホームな職場」。
それは、仲がいいということなのか。
誰にでも気軽に話しかけられるということなのか。
それとも、困ったときに自然と誰かが手を差し伸べてくれるということなのか。
同じ言葉でも、中身はまったく違う。
本当はそこに、その会社らしさがあるのに、
私たちはつい、結果だけを言葉にしてしまう。
魅力を言語化するための3つの視点
じゃあ、どうすればいいのか。
特別なテクニックが必要なわけではなくて、
少し視点を変えるだけで、拾えるものが増えてくる。
1|関わり方の「距離」を見る
「アットホームな職場です」と言われたとき、
私がよく聞くのはここだ。
先輩との距離感は、どのような感じですか?
上司や社長とは、どんなお話をしますか?
フラットに話せるのか。
場面によってきちんと切り替えているのか。
仕事以外の会話はどれくらいあるのか。
このあたりに、その会社の「人との距離の取り方」が現れる。
自分自身、働く中で悩んできた部分でもあるから、
自然とここを確かめるようになった。
2|入社後の「変化」を聞く
もうひとつ大事にしているのが、入社後の話。
入社してよかったことは何ですか?
転職の場合、前職での違和感は解消されていますか?
ここには、その会社のリアルが出る。
たとえば、
新入社員にはメンターの先輩がつき、
わからないことをすぐに相談できる。
ブランクがあっても、
研修が整っていて、技術面でもしっかりサポートがある。
そういう言葉の中に、
「ちゃんと見てもらえている」という安心感がにじむ。
3|何気ないエピソードを拾う
もうひとつは、少しラフな話の中にある
飲み会や交流会の話
先輩とのちょっとした面白いエピソード。
「最初は距離がつかめなかったけれど、
ある出来事をきっかけに、一気に打ち解けた」という話もある。
そういう何気ない瞬間に、その会社らしさはよく表れる。
アットホームという言葉の奥にある、
具体の温度が見えてくる。
取材時にそのまま使える質問リスト
こうした話を引き出すために、
実際によく使っている質問がある。
・入社してよかったと感じたことは?
・入社前の不安は、解消されていますか?
・周りの人には、話しかけやすい雰囲気ですか?
・先輩や上司とは、どんなふうに関わっていますか?
・印象に残っている出来事はありますか?
ポイントは、
答えやすいけれど、少しだけ内側に触れること。
きれいな言葉じゃなくていい。
少し考えながら出てくる言葉のほうが、
その人の本音に近いことが多い。
雰囲気を「理由」に変える種をまく
「雰囲気がいい」という言葉の裏側には、
必ず理由がある。
ただ、それは説明しようとすると見えにくく、
会話の中や何気ない一言の中に紛れている。
だから私は、さまざまな角度から質問を投げてみる。
どんな関わり方をしているのか。
どんな瞬間に、その会社らしさがでるのか。
そうやって拾いあげたものを、
あとから言葉にしていく。
「雰囲気がいい」で終わらせないために。
その会社らしさを、ちゃんと伝えるために。
言葉はあとから整えればいい。
でも、その前に拾えるかもしれない種をまいておきたい。
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灯すことばや:tomo
採用記事やインタビューを通して、会社の魅力を言葉にしています。
何気ない会話の中にある“らしさ”を、拾い上げて整えるのが好きです。

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